みなさん、海外の日本食レストランを訪れたことはありますか?先日、ベルギーの日本食レストランを訪れたのですが、楽しい気持ちになるはずが「悔しさと好奇心」に帰着しました。
今回は、その気持ちの変化をシェアしてみたいと思います。
日本食は最高、でも何か違和感…
2023年1月、留学先のゲントにある Yammi Yammi という日本食レストランにクラスメートを誘って行ってみました。大学の寮から徒歩5分の立地で、「いつでもいけるから今度にしよう…」と何度も通り過ぎていたこともあって、かなりワクワクして足を運んだのを覚えています。
ビュッフェ形式のレストランで、寿司はもちろん、エビフライ等の揚げ物も揃っていて、メニューがなかなか充実していました。にぎりのシャリがでかいのが唯一気になりましたが、味はもう日本のそれで、かなり満足することができました。
しかしその翌日、日記をつけているときに、「料理には満足できたけど、何かが満たされていない」と違和感をふと覚えました。その違和感の正体をよくよく考えてみた結果、お店の雰囲気が原因だったのでは、と思っています。
というのは、日本の定食屋さんやラーメン屋さん、居酒屋を想像すると、特に居酒屋は卓が所狭しと並んでいて、汚いわけではないけれどもごった返している雰囲気ではないでしょうか。一方 Yammi Yammi の雰囲気は、いかにも西洋風という感じで、ガラス張りの店内で、卓同士もしっかり距離が保たれていて、お店の奥には立派なバーのような厨房がある、という塩梅でした。
無意識のうちに日本の居酒屋のような雰囲気を期待してしまい、お洒落すぎる西洋風日本食レストランの雰囲気に少し違和感を感じた、ということです。
ローカルの人が感じる「心地よさ」
Yammi Yammi で抱いた違和感、個人的にかなり大切にしています。それは、そこに違和感を抱くということは、「現地の人が感じる心地良さにまだまだ溶け込む余地がある」と解釈できると思うからです。
冷静に考えれば、いくら日本食レストランとはいえ、レストラン側が来店を想定しているお客さんの多くはベルギー出身の人たちです。日本出身の私が違和感を感じるとしても、Yammi Yammi の内装は、地元の人たちが心地良く食事ができるようにレイアウトされているはずです。
レストランが提供している「心地よさ」を、私は「違和感」と解釈している。
このギャップを自覚した途端、悔しさと好奇心が混ざったような、今まであまり意識したことがない感情になったのを覚えています。ベルギーで生まれて何十年もベルギーで暮らしてきた人たちが感じる心地良さを、まだ理解できていないのかもしれない。理解だけでなく共感できるとしたら、どんなコミュニケーションが生まれるだろうか。こうしたアイデアが生まれました。
Yammi Yammi は関係ないのですが、もう一つ例を挙げるとすれば、ある時フランス人の友達が「ワイングラスを片手にカフェのテラスでおしゃべりするのが最高なんよ」と言っていて、焼き鳥を片手にレモンサワーを勝ち込んで爆笑するのとは違う世界線があることを実感しました。そして、日本以外の国の「心地良さ」や「あるある」を理解してみたい、と思った瞬間でもありました。
さて、今回はベルギーの日本食レストランを訪れたときに感じたことを書いてみました。
「出身国によって心地よく感じるもの・ことが異なる」ことを強く実感した瞬間でしたが、日本人同士であっても、人によって心地よく感じるものは異なる、と言える気がします。
誰かとコミュニケーションを取るとき、「この人がどんなことを心地よく感じるのだろう…」という視点を頭の片隅に置いておくと、お互いに楽しい時間を過ごすことにより貢献できるのかもしれません。