Erasmus Mundus IMRD について
Erasmus Mundus IMRD について

Erasmus Mundus IMRD について

私が進学先として選んだ IMRD は、農村開発を専門として勉強する修士課程で、Erasmus Mundus という欧州連合による教育プログラムの1つです。今回は IMRD がどんな環境なのか、シェアしていきたいと思います。


1. 複数の国で勉強する

IMRD では、基本的にセメスターごと(約半年ごと)に勉強する国が変わります。私のケースだと、2022年9月から2023年1月までベルギーのゲント 、2023年2月から2023年5月までスロバキアの二トラ、2023年9月から2024年7月までイタリアのピサ、という流れです。2023年6月から2023年8月までの長期休暇については、後述しています。

行先の国はあらかじめプログラムによって決められていて、自分で国や大学を選択するというプロセスはありません。ただ、IMRDでは、経済・社会・環境の3つのコースが用意されていて、それぞれのコースで行先の国が異なります。また、欧州以外の南アフリカ、韓国、アメリカであれば、希望をすれば変更できます。

半年という期間は短いですが、ある国の生活様式や文化、物価の違い等を感じることができます。また、同じコースを選択している仲間と一緒に国を移動していくことになるため、コースが同じ仲間との人間関係は自然と親密になっていきます。

その一方で、飛行機やバスを自分で手配して、重量制限のもとパッキングをして、でかいスーツケースを手に移動し、移動後に生活必需品を揃えたり交通機関の利用方法を調べ直したりする、というのは、なかなかの労力ではあります。

2. 参加者の出身国や経験値が多様

IMRD には、基本的に国籍関係なく応募ができ、世界中から様々なバックグラウンドを持った参加者が集まります。

年度につき大体40~50人ほどを受け入れていて、国籍は30か国を超えます。私の年度は、ヨーロッパ:中南米:アフリカ:アジア = 1 : 1 : 1 : 1 くらいの比率です。私の年度で日本人は私だけで、2004年のプログラム設立以来、日本人参加者は私含め3人ほどだそうです。

年齢も様々で、20~40歳の参加者がいて、平均年齢は28歳です。すでに結婚している参加者も中にはいます。

バックグランドに関しても、多様です。学部を卒業した直後に IMRD に参加しているパターンは5人ほどしかおらず、1つ目の修士を卒業して2つ目として来ているケース、数年働いてから勉強しに来ているケース、出身国の会社に所属しながらプログラムに参加しているケース、出身国の大学との Dual Degree で勉強しているケース、等々です。IMRD以前の学士や修士の専門もそれぞれ異なります。

そのため、IMRD という1つのプログラムとはいえ、人生のどのステージでプログラムに参加しているかは千差万別で、プログラムに対する期待値やモチベーションも様々です

こうした環境に身を置き、グループワークで人生の先輩たちのリーダーシップを学んだり、仲間と飲みに行って「あんたはまだ子供よ」なんて言われて人生相談に乗ってもらったり、共用キッチンで祖国の料理を振る舞いあったりできるのは、一生の財産になるなと感じます。

3. 長期休みはケーススタディとインターン

IMRD では、6月~8月の長期休暇のうちの1ヶ月でケーススタディをすることが必修になっています。IMRD が用意する選択肢から国を選んで、その国の農村地域に1ヶ月滞在しながら、座学よりもより実践的な知識や技術を学びます。22-24年度では、イタリア、スロバキア、インド、ベトナムの4か国が選択としてあります。

加えて、IMRD では任意でインターンシップが設けられていて、欧州でインターンをすれば単位が出ます。大学側でインターン先を用意してくれるわけではなく、自分で希望の会社や団体とコンタクトを取り、自らインターン先を手配します。期間は5週間か10週間で選択でき、インターン終了後はプレゼンを行い成果報告を行う、という流れです。

ケーススタディとインターン以外の空いている時間は、自由度が高く何をするかは自分で決められます。出身国に帰国して家族と過ごしたり、欧州を旅行して回ったり、中南米でボランティア活動をしたり、欧州でサマースクールに参加したり、修士論文に向けて準備を進めたり、過ごし方は人それぞれです。

4. 欧州旅行

欧州に2年滞在し、加えて勉強する国が変わっていくので、欧州諸国を旅行しやすい環境です。

ESN (Erasmus Student Network) という学生カードを作れば、バス(Flixbus) や飛行機 (Ryanair) で割引があります。また、学生であれば美術館の入館料が無料になるケースも少なくなく、旅費を抑えられます。

私の場合、ベルギーのゲント滞在時は、ベルギー国内(Brussels, Gent, Dinant, Liege, Leuven) やフランス(Paris)、オランダ(Amsterdam)、ドイツ(Aachen, Cologne) を旅行しました。

現在(2023年2月)はスロバキアに滞在していて、スロバキア国内(Bratislava) やチェコ(Prague)、オーストリア(Vienna)、ハンガリー(Budapest)、クロアチア(Zagreb)等を旅行してみようと思っています。


今回は Erasmus Mundus IMRD がどんな環境なのかを中心にまとめてみました。

日本で出国準備をしているときには想像もしていなかったことばかりで、最初の数週間は「やべえところにほっぽりだされたな…」なんて思っていましたが、今では IMRD を選択してよかったなと思います。

IMRD 以外の Erasmus Mundus のプログラムの詳細は私はわかりませんが、大きくは変わらないのではないでしょうか。Erasmus Mundus を進学先として検討している方がもしいれば、この記事が少しでも決断の助けになれば幸いです。