#8. 目標のアップデートを怠らないこと
#8. 目標のアップデートを怠らないこと

#8. 目標のアップデートを怠らないこと

みなさん、日頃何か目標を設定するとき、どんなことを大切にしていますか?朝その日にやるべきことを確認する、年末年始に1年の目標を決める、あるいは1年以上の継続が必要なことを決める等々、目標を設定する瞬間はたくさんあるのではないでしょうか。

海外留学という文脈でも、目標設定はとても重要なことだと思います。ただ、長期留学の場合、目標設定と同じくらい大切なことが「目標のアップデート」ではないかと思います。

今回は、留学生活がマンネリ化してしまい1ヶ月ほど悩んでいた私の経験に触れながら、目標のアップデートについて書いてみようと思います。

1. 留学生活のマンネリ化

留学生活が始まって7ヶ月ほどが経ったころ、私の場合これは修士1年目の2学期後半に当たりますが、悪い意味で大きな気持ちの変化がありました。

それ以前は、自分の目標に向かって一生懸命取り組み、leave my comfort zone している感覚がしっかりあり、かなり充実感や達成感を感じながら生活していました。ところが、2学期後半を境に、退屈に感じている時間が徐々に増えていることに気が付きました。「退屈」という言葉が正しいかわかりませんが、「何かにチャレンジする意気込みはある、留学生活に飽きたというわけでもない、でも次目指すべきレベルを見失い、迷子になっている」というような感覚でした。

プライベートに関して、人間関係は大切にできている感覚はしっかりあり、友達とカフェで6時間カフェラテとクロワッサンのみで喋り倒すこともあるくらい充実していました。2学期目のベースはスロバキアのニトラでしたので、ひと月に1度か2度東欧を旅行をして、楽しむときはしっかり楽しむことを意識していました。しかし、心の中では「このまま高いお金を払って2年間も欧州にいる意味ある?」という自分の声が徐々に大きくなっていったのを覚えています。

2. 原因はなに??

この気持ちを自覚した瞬間から、「退屈」を感じるようになった原因を探し始めました。自覚したのは2023年4月頃で、4月丸々悩んでいましたが、最終的には自分の中でしっかり消化することができました。

2学期目の大学の教育水準

1つ目の理由は、2学期目の大学の教育水準です。Slovak University of Agriculture in Nitra という大学で勉強しましたが、専門性や人間性の向上に繋がる要素はほとんど提供されませんでした。

唯一、QGISというソフトを扱う授業では専門性が向上している感覚はあったものの、その他は酷いくらい退屈で、修士課程に相応しい専門性と難易度ではありませんでした。

もちろんライティングの課題やテストはあり、勉強でとても忙しくはありましたが、中身が「農村開発」に関係ないものが多く、グループワークもひとつもなかったので、チャレンジしている感覚が全くありませんでした。こうした状況が背景にあり、上記のマンネリ化が生まれる1つの理由になっていたと思います。

留学前に設定した目標の達成

2つ目の理由は、留学開始前に設定した目標の半分くらいが達成されたことです。目標の細かいことは省きますが、大きく分けて「英語力を伸ばす、海外生活に慣れる、海外で就職する」3つを目標としていましたが、最初の2つは7ヶ月経った頃にはチャレンジだと感じなくなっていました。

ベルギーからスロバキアに引っ越しをしたことで海外で生活していくことに自信がつき、英語力に関しても、もちろん完璧ではありませんが、英語原因で困る場面はほとんどなくなっていました。そして、3つの大きな壁に向かって精一杯努力していた状態から、壁が1つになったことで、「物足りなさ」を感じるようになったのかな、と思います。

3. 目標のアップデート

そして、1ヶ月間悶々とした結果、向上心を忘れていることに気がつきました。海外留学していることを言い訳に、向上心を持ち続けることを怠っていたとも言えると思います。そして、向上心を持ち続けることは「目標をアップデートしていくこと」ではないか、という考えるようになりました。目標の追加というよりは、目標水準を次のレベルに引き上げることです。

英語力ひとつとっても、生活やプレゼンで困ることはほとんどなくなったとしても、それは表現の幅を広げる努力をしなくていい理由にはなりません。いつも同じ表現ばかり使っていないか自分で点検して、目標を「英語を大学や仕事で使えるようになること」から「自分の感情や意見を豊かに伝えられるようになること」にアップデートする必要があると感じます。

学業に感じても、教育のクオリティに関して大学側にフィードバックをすることはもちろん大切ですが、それ以上に、授業以外の時間で主体的に何を追加で学べるのかを考えることが大切だと感じます。「授業を真面目に受けて学位を取ること」という目標から踏み込み、「授業と並行して修士論文の研究を進めること・授業の内容をより深く考えるため関連する論文を各授業につき最低1本は読むこと」等々、自分の作業の質を洗練する努力を自ら進んでするべきだと感じます。


さて、今回は目標設定や向上心について、私の経験をもとに書いてみました。

海外留学についていえば、留学が始まったばかりの頃は「海外でしっかり生活すること」が目標になり得ても、どこかのタイミングでそれは達成されていきます。そこから「次のレベルをどう定義するのか」が大切なのではないでしょうか。