長期留学に行くとなると、必ず必要なビザの申請。
ベルギーの大学に長期留学する日本人がどれほどいて、ベルギービザ申請の情報がどれほど需要があるのか、正直不明ですが、手続きのポイントをまとめていこうと思います。
無犯罪証明の取得、資金証明の方法等にも触れますので、ベルギー以外のビザを取る方も参考にしてみてください。
※ 本稿の情報は、2022年6月現在のものです。
[重要] とりあえず大使館にメールする
ビザ申請で最初に気になるのは、どの種類のビザが自分に該当するかですよね。
たとえば、ベルギービザで言うと、滞在期間によってCビザかDビザに分かれます。90日以内の滞在であればCビザ、90日以上の滞在であればDビザです。
そして、Dビザの中でも、滞在目的により提出する書類が異なります。仕事で行く場合はこれ、留学で高等教育機関に通う場合はこれ、留学でバレエスクールに通う場合はこれ、…といった塩梅です。
このように、条件が煩雑で、これを自分で確認してビザの種類を決めるのは面倒かつ不安です。
なので、間違いを防ぐためにも、ベルギー大使館に初めからメールを送りましょう。以下が含めるべき情報です。ちなみに、ベルギー大使館とのやりとりは英語です。
- 留学期間
- 滞在目的(勉強、バレエ、等)
- 留学先(〇〇大学)
メールを送ると、2,3日程度で返信をくれて、取るべきビザの種類や揃えるべき書類を全て教えてくれます。それに従って手続きを進めるのが、楽だと思います。
もちろん、自分で大使館のホームページを訪れ、詳細を確認することもできます。
Dビザ(留学目的)では、どんな書類が必要?
私も実際、最初は訳がわからなかったので、とりあえずメールをしました。
- 留学期間:2年
- 留学目的:勉強
- 留学先:Ghent University
という内容でメールをしたところ、Dビザ, Studies, Higher Education の部門で申請してほしいとのことで、提出書類などが掲載されているURLを送ってもらえました。
この先は、Dビザ, Studies, Higher Education のベルギービザ申請の詳細をまとめています。必要な書類の揃え方と、揃える時の注意点が内容の中心です。
私と留学の条件が異なる方でも、重複する書類がいくつかあると思いますので、確認しやすいようにリストでまとめておきます。必要な書類、以下です。
- ビザ申請フォーム
- パスポート
- 顔写真
- 犯罪経歴証明書(取得 & アポスティーユ)
- 健康診断の結果
- 合格通知書
- 在学証明書、又は卒業証明書
- 資金証明
- 履歴書
- 申請手数料(Belgian Immigration Officeに支払う)
- 言語フォーム
- 申請手数料(ベルギー大使館に支払う)
- 保険加入の証明(提出は任意)
1つずつ見ていきます。
1. ビザ申請フォーム
指定の情報をウェブ上で打ち込み、それをプリントアウトします。
入力サイトには、ベルギー大使館のホームページからアクセスできます。
2. パスポート
パスポートの有効期限に条件があり、「ビザの有効期限+3ヶ月」が最低限必要です。
例えば、2年間有効なビザを申請する場合、パスポートの有効期限は2年と3ヶ月以上である必要があります。
3. 顔写真
直近6ヶ月以内に撮影したものに限ります。
また、写真の大きさや写真に占める顔の割合は、ICAO基準に従う必要があります。何のこっちゃですが、ICAO基準はベルギー大使館のホームページからすぐに確認できますので、条件をメモして写真屋さんにいきましょう。
プリントアウトした申請書に写真を貼るので、写真データだけのオーダーにしないように注意です。
4. 犯罪経歴証明書(取得 & アポスティーユ)
18歳以上の方は、無犯罪証明書を取得する必要があります。また、ビザ申請日から6ヶ月以内に取得したものでなければいけません。さらに、取得するだけでなく、取得した犯罪経歴証明に「アポスティーユ」という手続きが必要です。
申請手順がやや複雑ですので、番号を振り整理してみました。
4-1. ベルギー大使館から ‘a request letter’ を発行してもらう
犯罪経歴証明書の申請先は警察署ですが、いきなり行っても発行してくれません。事前にベルギー大使館に行き、’a request letter’ をベルギー大使館から受け取る必要があります。
‘a request letter’ の申請については、A4サイズの紙に (1) フルネーム, (2) 生年月日, (3) 国籍, (4) 住所、を記載した申請用紙が必要です。指定のフォーマットはないので、ワード等で適当に作成してプリントアウトすれば大丈夫です。
指定の書類(パスポート等も必要)を持ってベルギー大使館に行くと、10分ほどで ‘a request letter’ を発行してくれます。ただ、申請時間が平日 9:30am ~ 12:00 noon なので、注意しましょう。
4-2. 都道府県が指定する警察署で申請する
ベルギー大使館で ‘a request letter’ をもらったら、都道府県指定の警察署に足を運び、犯罪経歴証明書の申請をしましょう。「犯罪経歴証明書 〇〇県」等でググれば、持ち物や申請場所がすぐに出てきます。
4-3. 警察署で受取を済ませる
申請してから1週間ほどで、受取りが可能になります。郵送受取はできないので、もう一度警察署に行くことになります…。どうしても都合がつかない場合は、代理人が受け取ることも可能です。
4-4. 外務省にアポスティーユ申請をする
ベルギービザの申請では、犯罪経歴証明書を取得するだけでは不十分で、その書類に外務省から「アポスティーユ」という押印をもらう必要があります。外務省ホームページから、アポスティーユ申請書をダウンロードし、必要事項を記入します。そして、(1) 申請書、(2) 取得した犯罪経歴証明書、(3) 返信用封筒、の3つを同封して、外務省に郵送することになります。
4-5. 外務省から原本が返送される
郵送してから返送されるまで、まあまあ時間がかかった記憶があります。2週間はかからない程度でしょうか。
余裕を持って手続きを進めることをお勧めします。犯罪経歴証明書の申請から受取まで1週間かかり、さらにアポスティーユ申請にかかる1,2週間があるので、2,3日で終わる書類ではありません。
5. 健康診断の結果
どの病院で健康診断を受けるかによって、受けた後の手続きが変わります。
ベルギー大使館が指定する医師にかかり、健康診断を受けた場合は、受けた後に特別な手続きは必要ありません。しかし、お住まいの地域の任意の病院で健康診断を受けた場合は、その結果に「アポスティーユ申請」が必要です。
私は、ベルギー大使館指定の、東京都麹町にある「山岡クリニック」さんにお願いしました。
理由の1つは、アポスティーユ申請が面倒ということです。もう1つは、ベルギー大使館ホームページから指定の用紙をダウンロードして印刷し、医師に記入をお願いすることを考えると、「地元の病院に指定のフォーマットを持ち込んだとして、果たして事がスムーズに運ぶだろうか、こちらから説明するにしてもよくわからんし…」と不安になり、指定の病院に行くことにしました。
6. 合格通知書
ベルギーの留学先大学から発行される、合格や入学が証明できる書類です。
オリジナルの合格通知書の提出を求められますが、大学から書類がPDFでメールされてくる場合、合格通知書をプリントアウトすることになってしまいます。この場合は、日本のベルギー大使館宛にPDFファイルをメールしてもらうように、現地大学にお願いする必要があります。ちなみに、送付先アドレスは、tokyo.visa@diplobel.fed.beです。
私の場合、この必要性を知らずにベルギー大使館に行き、プリントアウトしたものをオリジナルとして提出したところ、現地大学に上記のようにお願いして欲しいと大使館の方から言われました。
7. 在学証明書、又は卒業証明書
現在在籍している、もしくは卒業した大学等から発行される証明書です。
証明書が英語で発行される場合、そのまま証明書をベルギー大使館に提出で問題ありません。
ただ、証明書が日本語でしか発行されない場合、文書の翻訳 & アポスティーユ申請が必要です。
翻訳については、ベルギーの公用言語(フランス語・オランダ語・ドイツ語のいずれか)へ翻訳する必要があり、外部の翻訳サービスに依頼することになります。そのあとで、アポスティーユ申請が必要になります。
8. 資金証明
留学中に不自由なく生活するだけの資金があることを証明する必要があります。証明する方法は3通りです。
- 奨学金の合格を証明する(€730/month が最低限必要)
- Blocked Account を利用する(詳細を後述)
- 親族の所得を証明する
私は、合格した奨学金が条件の最低額に満たなかったので、Blocked Account を利用しました。
Blocked Account というのは、留学費用を管理する仕組みです。まず、ベルギーでかかる生活費を、事前にまとめて留学先大学の銀行口座に送金します。そして、留学開始時にベルギーで自分の銀行口座を開設し、大学から1ヶ月ずつ生活費を振り込んでもらう仕組みです。
Blocked Account の仕組みをすべての教育機関が採用しているわけではないようなので、利用できるかどうかは留学先大学のホームページで確認する必要があります。私の場合は、「Ghent University Blocked Account」の検索で、応募方法や仕組みの詳細が出てきました。
実際に申請して振込が完了すると、「ビザ申請のときに大使館にはこれを提出してくれ」という振込証明書がメールで届きます。それをベルギー大使館に提出します。
補足として、親族の所得を証明する場合は、ビザ申請時に親族がベルギー大使館に足を運び、サインをする必要があります。ご両親の都合がつかない場合、この方法は現実的ではないことになってしまいます。
9. 履歴書
英文履歴書です。
フォーマットに特に指定はないので、留学先大学に出願するときに作成したものがあれば、それを援用しましょう。
10. 申請手数料(Belgian Immigration Officeに支払う)
18歳以上の方は支払う必要があり、ベルギーの指定の銀行に送金します。
支払先の詳細は、ベルギー大使館のホームページで確認できます。私のケースだと、Dビザ, Studies, Higher Educationで、€208でした。
Exemptions といって、支払う必要がない場合もあります。私が知っているケースだと、留学先大学が提供する奨学金の合格者で、手数料も奨学金で負担してもらえるケースです。その場合は、免除されることを証明する証明書が必要ですので、留学先大学から発行してもらう必要があります。
11. 言語フォーム
ビザ申請の結果がオフィシャルにベルギー大使館から来るときに、使用される言語を選択するものです。
選択肢はフランス語・オランダ語・ドイツ語で、指定の用紙はベルギー大使館のホームページからダウンロードできます。
希望の言語にチェックを入れて、提出します。
12. 申請手数料(ベルギー大使館に支払う)
ビザ申請をする日に、日本円・現金で、ベルギー大使館に手数料を支払う必要があります。
Belgian Immigration Office に海外送金で支払う手数料とは別のものになります。クレジット払い等もできないので、申請日には日本円の現金を持参することを忘れないよう、注意です。
私のケースだと、Dビザ, Studies なので、24,300円の支払いでした。
13. 保険加入の証明(提出は任意)
提出は任意ですが、ビザ申請時に提出をしない場合、渡航後にベルギーの役場で加入を証明することになります。
私の場合は、ベルギーに到着してから保険に加入するため、渡航後にベルギーで役場に行くことにしました。
※ 補足:
ベルギーに到着してから保険に加入で間に合うのかと思った方がいるかもしれません。私の場合は、留学先大学の手続きに関するサポートのもと、HZIV保険というベルギーの健康保険に加入します。その手続きを終え次第、ベルギーで暮らす地域の役場で手続きをします。
さて、今回はベルギービザの申請についてまとめてみました。書類の説明について、1つでも役立ったというものがあれば、嬉しいです。