私は学部に入学した当初、短期もしくは長期の海外留学を経験してみたいという思いはあったものの、海外大学院進学という進路は頭に一切ありませんでした。しかし、あることがきっかけで海外に進学する覚悟が決まり、最終的に Erasmus Mundus IMRD というプログラムに参加することができました。
今回のテーマは、海外大学院に合格するために必要な準備・スケジュールです。海外進学を思い立ったところから合格通知が来るまで、準備の過程、受験スケジュール等々をシェアできればと思います。
1. 海外進学の思い立ち
海外進学を思い立つきっかけになったのは、大学2年次の夏休み、8月に参加した2週間ほどの語学研修でした。第二外国語としてスペイン語を履修していて、たまたま授業で研修の宣伝があり、入学当初からどこかのタイミングで海外に行ってみたいと思っていたこともあり、参加を決めました。
研修自体とても価値あるものでしたが、ここで強調したいのは参加後の私の気持ちの変化です。研修参加前は、海外で生活したり日本語以外の言語でコミュニケーションを取ることがどういうことなのか、具体的な想像が全くできず、とりあえず海外に行ってみたいという感じでした。
ただ、参加後は、2週間という短い期間ではあるものの、長期間生活したらここが難しくてここが楽しんだろうな、現地の言葉をもっと話せたらコミュニケーションの幅が広がるんだろうな、言葉の壁がなくなれば異なる文化や価値観をもっと深いレベルで理解できるんだろうな、というふうに具体的に想像できるようになりました。そして、「海外で働いてみたい」という次の目標が生まれ、海外進学を本気で考えるようになりました。
2. 思い立ちから合格までのスケジュール
私の場合、学部に関しては2018年4月入学・2022年3月卒業で、2022年9月に海外大学院入学を目指す、という流れでした。以下、大まかな準備・受験のスケジュールです。
- 2019年8月(2年次):スペイン研修
- 2019年9月~2020年2月(2年次):海外で何を仕事にしたいのかを掘り下げ→海外進学思い立ち→海外進学の情報収集
- 2020年3月~2021年7月(3,4年次):研究分野の決定と勉強→出願先の調査と決定→出願における必要書類の確認
- 2021年8月~2021年11月(4年次):出願書類の作成
- 2021年12月~2022年6月(4年次):出願・合格通知
2019年9月~2020年2月は、なぜ海外進学が必要なのかをじっくり考え、そのために何を準備する必要があるのかを確認する期間でした。一般的に海外大学院の受験システムはどのような塩梅か(テストはあるのか?)、受験において何を準備する必要があるのか、必要な語学力はどれほどでそこに達するまでにどれくらいかかるのか、今までの課外活動をどう出願に結びつけ、これからどんな課外活動をしていくのか、等々でしょうか。
2020年3月~2021年7月は、本来の学部の学業に専念しつつ、卒業後の研究分野や進学先大学を絞り込む期間でした。海外大学院進学では GPA が重視されるため、日ごろの授業の成績も大切になってきます。進学先大学が決まると、必要書類や受験日程も自ずと決まってきて、受験スケジュールを具体的に立てられるようになると思います。こうしたことを考えつつ、英語の勉強を進めるという塩梅でした。当時はコロナ真っ只中でしたので、オンライン留学等を活用していました。
2021年8月~2021年11月は、出願書類の作成です。この時期は学士論文の執筆が始まる時期で、大学院出願と学士論文の執筆を同時並行できる時間管理が大切です。教授からの推薦状等、自分の力だけではどうにもならないものもありますので、できるだけ早めに取り掛かるに越したことはありません。
2021年12月~2022年6月は、実際に出願する段階でした。以下、志望大学、出願日、合否通知が来た日をまとめています。
- Copenhagen University:出願が2021年12月11日、合格通知が2022年3月15日
- Monash University:出願が2022年1月20日、合格通知が2022年2月8日
- Ghent University:出願が2022年2月14日、合格通知が2022年3月3日
- Wageningen University:出願せず(出願を予定していたのは2022年5月ごろ)
- 東京農業大学:出願せず
海外大学院は合否通知の日時を明確に定めていない場合が多く、出願から2週間など、曖昧なことがほとんどです。Ghent University が第一志望だったので、その合格通知がきた2022年3月3日で受験を止め、それ以降の二つの大学院は出願しませんでした。
3. その他の注意すべき点
GPAは大切
海外大学院の入試では試験がないことが多く、基本的に学部時代の学業成績はGPAで見られます。高いに越したことはありませんので、履修登録を自分の研究分野に寄せつつ、しっかり成績をとっていく必要があります。
私の場合、特に海外大学院進学を意識していなかったとき、つまり2年次8月まででGPAは2.8ほどでしたが、出願時まででできる限り引き上げることを意識して、最終的には平均3.5で出願することができました。
英語の勉強はコンスタントに継続
一般的に求められる英語力は、IELTSで言うと6.5です。遅くとも、卒論や出願書類の作成が本格化する前までにスコアをとってしまうこと目標にしていきましょう。また、英語で修士レベルの勉強をすることを見据えて、スコアをとった後も勉強し続けることが必要だと感じます。
全て不合格の可能性を考慮する
いくら準備に時間を費やしたとは言え、出願したどの大学院からも合格をもらえない可能性はゼロにはなりません。どこからも合格が来なかった場合、どうやって将来の目標を達成するのか、Plan A ~ Plan E くらいまで用意しておく必要があると感じます。卒業間近まで進路が決まらず不安になることも考慮すると、alternatives を多く用意しておくことはメンタル的にもかなりプラスになると思います。
さて、今回は海外大学院合格までのスケジュールをまとめてみました。海外大学院合格を手繰り寄せる要素として、計画性、タイムマネジメント、そして粘り強さが重要かな、と思います。
個人的には、一番大変だったのは IELTS の勉強です。英語に触れることは好きですが、本格的に勉強を始めた当初は ILETS 6.5 という壁がとても高く、コロナ禍であったこともあり交換留学をするという選択肢もなく、とても苦労しました。英語学習のように長期間壁にぶつかり続けることを考えると、チャンレンジを楽しむ態度も大切になるのかな、とも思います。
もし進路として海外大学院進学を検討している方がいらっしゃいましたら、この記事が少しでも参考なれば幸いです。